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ココナッツオイルの健康への影響を研究論文から知る|おすすめココナッツオイルも紹介

ココナッツミルクに含まれるMCT脂肪は、減量、体組成、代謝に効果があるという証拠がいくつかあります。

ココナッツオイルの脂質の約50%は「ラウリン酸」が占めています。ラウリン酸は「中鎖脂肪酸(MCT)」に部類されている飽和脂肪酸です。

カプリン酸とカプリル酸という脂肪酸も約12%含まれています。これらも中鎖脂肪酸です。

ココナッツミルクに含まれるMCT脂肪は、減量、体組成、代謝に効果があるという証拠がいくつかあります。

J Pediatr Surg. 1999 Jan;34(1):39-43. doi: 10.1016/s0022-3468(99)90225-7.

この記事では、ココナッツオイルに関するヒトを対象とした研究試験を紹介します。ココナッツオイルの効果について気になる方は、ぜひご参照ください。

ココナッツオイルの健康影響を調査した研究

ココナッツミルク

1.閉経女性を対象とした、MCTの摂食による食後のエネルギー消費調査

The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 69, Issue 5, May 1999, Pages 883–889, 

詳細

肥満ではない女性12名に14日間、MCT食を実施。主な脂肪源としてバターとココナッツオイルを摂取。

さらに14日間、牛脂を主な脂肪源とする長鎖脂肪酸(LCT)食を実施した。

結果

7日後、安静時代謝率および食後消費カロリーは、MCT食がLCT食に比べ有意に高かった。しかし14日後では、両食事間の差はみられませんでした。

ココナッツオイルの健康への影響を研究論文から知る|おすすめココナッツオイルも紹介

2.健康な女性におけるMCTとLCTの摂食中の脂肪燃焼率

International Journal of Obesity volume 24, pages1158–1166 (2000)

詳細

健康で肥満でない女性12名に、バターとココナッツオイル(MCT食)または牛脂(LCT食)を加えた混合食を6日間摂取させた。8日間は両群ともLCTを摂取し、脂肪燃焼率を調査・評価した。

結果

14日目で、MCT群はLCT群よりも多くの体脂肪を燃焼させた。安静時代謝量は、7日目にはLCT群に比べMCT群で有意に高かったが、14日目にはその差はなくなった。

ココナッツオイルの健康への影響を研究論文から知る|おすすめココナッツオイルも紹介

3.健康な若い女性における、MCT・LCT摂取のエネルギー消費調査

First published: 06 September 2012

詳細

肥満ではない12人の女性に、バターとココナッツオイルを加えた混合食(MCT食)を14日間、牛脂(LCT食)を別の14日間摂取させた。

結果

MCT食摂取7日目の安静時代謝量はLCT食に比べ有意に高かった。しかし、その差は14日目には有意ではなくなった。総カロリー消費量は試験期間中、両群で同程度であった。

4.内臓脂肪の減少におけるココナッツオイルの有効性

Volume 2011 |Article ID 949686 

詳細

過体重または肥満の20名に、1日3回食前に10mL、1日合計30mL(大さじ2杯)のヴァージンココナッツオイルを4週間摂取させた。それ以外は、いつも通りの食事と運動をとってもらった。

結果

4週間後、男性は平均1.0インチ(2.61cm)、女性は平均1.2インチ(3.00cm)ウエスト周りが細くなった。体重の減少は、全体で平均0.5ポンド(0.23kg)、男性で平均1.2ポンド(0.54kg)であった。

5.腹部肥満女性へのココナッツオイルの効果

First published: 13 May 2009 https://doi.org/10.1007/s11745-009-3306-6Citations: 92

詳細

腹部肥満の女性40名を対象に、1日3回、毎食時に大豆油またはココナッツオイルを10mLずつ12週間摂取させた。これは1日あたり30mL(大さじ2杯)の油に相当する。

また、併せて低カロリーの食事と、毎日50分のウォーキングも行ってもらった。

結果

両グループとも約2.2ポンド(1kg)減量した。しかし、ココナッツオイルのグループは、ウエスト周囲径が0.55インチ(1.4cm)減少したのに対し、大豆オイルのグループはわずかに増加した。

また、ココナッツオイル群では、善玉(HDL)コレステロールが増加し、炎症のマーカーであるC反応性タンパク質(CRP)が35%減少した。

さらに、大豆油のグループでは、悪玉(LDL)コレステロールが増加、HDLコレステロールが減少し、CRPが14%減少しました。

6.ココナッツオイルとヒマワリ油を摂取している南インド人男性の調査

Indian Journal of Clinical Biochemistry volume 24, pages76–81 (2009)

詳細

この研究は、2型糖尿病の男性70名と糖尿病でない男性70名を対象に行われれた。6年間にわたるココナッツオイルとヒマワリ油の調理への使用に基づいて、参加者をグループ分けをして、コレステロール、トリグリセリド、酸化ストレスマーカーを測定した。

結果

ココナッツオイル群とヒマワリオイル群の間には、いずれの値にも有意な差はなかった。糖尿病の人は、油の種類に関係なく、糖尿病のない人に比べて酸化ストレスのマーカーが高く、心臓病のリスクも高かった。

7.高コレステロール値の人の、脂質とリポ蛋白に対するココナッツオイルの効果

COMPARATIVE STUDY| VOLUME 36, ISSUE 8, P1787-1795, AUGUST 01, 1995

詳細

高コレステロールの28人が、主な脂肪源としてココナッツオイル、バター、サフラワーオイルを含む3種類の食事をそれぞれ6週間続けさせた。その後、脂質とリポ蛋白のレベルを測定した。

結果

ココナッツオイルとバターは、女性ではサフラワー油よりもHDLを有意に増加したが、男性ではHDL増加はみられなかった。バターはココナッツオイルやサフラワーオイルよりも総コレステロールを上昇させた。

8.ココナッツオイル、ヒトの血漿中脂質およびリポ蛋白質反応

The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 42, Issue 2, August 1985, Pages 190–197

詳細

コレステロール値が正常な19名の男性に、3種類の脂肪を含む昼食と夕食を摂取してもらった。

ココナッツオイル、サフラワーオイル、牛脂をそれぞれ5週間摂取し、各試験期間の間に5週間、普段の食事と交互に摂取した。

結果

ココナッツオイルを摂取した人は、牛脂とサフラワー油を摂取した人に比べ、総コレステロール、HDL・LDLコレステロールの値が高かった。しかし、トリグリセリド値の上昇は、牛脂を摂取した人よりも少なかった。

9.不飽和脂肪を飽和脂肪に置き換えた食事調査(女性)

The Journal of Nutrition, Volume 133, Issue 1, January 2003, Pages 78–83,

詳細

25人の女性に、3つの食事パターンを摂取してもらった。

  • 高脂肪、ココナッツオイルベースの食事
  • 低脂肪ココナッツオイル食
  • 高度不飽和脂肪酸(HUFA)をベースとした食事

各試験食の間に1週間、通常食を挟んで交互に摂取してもらい、20~22日間摂取させた。

結果

高脂肪ココナッツオイル食群では、HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの値が他の群よりも上昇した。

低脂肪ココナッツオイル食群では、LDL(悪玉)コレステロール値がHDL(善玉)コレステロール値に比べてより上昇した。他のグループでは、LDL(悪玉)コレステロール値が、HDL(善玉)値と比較して低下した。

10.ココナッツオイルを豊富に含む食事

The Journal of Nutrition, Volume 133, Issue 11, November 2003, Pages 3422–3427,

詳細

11人の女性が3種類の食事を摂取した。

高脂肪、ココナッツオイルベースの食事
低脂肪のココナッツオイルベースの食事
高度不飽和脂肪酸を中心とした食事。
各食品を20〜22日間摂取させた。その後、試験期間と試験期間の間に1週間、通常食を交互に摂取した。

結果

高脂肪、ココナッツオイルベースの食事を摂取した女性は、炎症マーカーが食後に最も減少したことが確認された。また、心臓病リスクの空腹時マーカーも低下が認められた。

11.ココナッツオイルプリング後の唾液中の細菌数への影響

DOI: 10.5005/jp-journals-10024-1800

詳細

60人が、以下のいずれかで口をすすぎ、その前後の口の中の歯垢形成細菌のレベルを測定しました。

  • ココナッツオイル 10分間
  • クロルヘキシジンマウスウォッシュ 1分間
  • 蒸留水 1分間

結果

ココナッツオイルとクロルヘキシジンを使用した人は、唾液中のプラーク形成細菌の数が有意に減少しました。

ココナッツオイルプリングとは

オイルプリングとは、インドの伝統医学・アーユルヴェーダの中の自然療法を起源とする「オイルで口をすすぐ」健康法のことです。

アーユルヴェーダではごま油を使ってオイルプリングを行いますが、抗菌作用の高いラウリン酸を多く含むココナッツオイルで実践するのがより効果的です。

ココナッツオイルプリングの効果や方法については、こちらの記事をご参照ください。

12.プラーク性歯肉炎におけるココナッツオイルの効果

Effect of coconut oil in plaque related gingivitis - A preliminary report

詳細

歯肉炎(歯茎の炎症)のある16歳から18歳の60人が、30日間ココナッツオイルを使ったオイルプリングを行ってもらった。オイルプリングは、ココナッツオイルを洗口液として使用。

7日後、15日後、30日後に炎症とプラークマーカーを測定した。

結果

歯垢と歯肉炎のマーカーは、7日目には有意に減少し、研究期間中も減少し続けた。

しかしながら、対照群がなかったので、ココナッツオイルがこれらの利点に関係しているかどうかは定かではありません。

ココナッツオイルの健康への影響を研究論文から知る|おすすめココナッツオイルも紹介

13.乳がん患者におけるココナッツオイル摂取によるの生活の質(QOL)に対する効果

Lipids in Health and Disease volume 13, Article number: 139 (2014) 

詳細

この研究は、進行性乳がんで化学療法を受けている女性60名を対象としたものです。対象者は毎日20mLのヴァージンココナッツオイルを摂取するか、何もしないかのどちらかを選択してもらった。

結果

ココナッツオイル投与群では、対照群に比べ、QOL、疲労、睡眠、食欲不振、性機能、ボディイメージのスコアが良好であった。

ココナッツオイルの体重減少および代謝への影響まとめ

ココナッツミルク

脂肪の減少や代謝の変化を調べた研究の多くで、ココナッツオイルは他オイルや対象群と比較して、ココナッツオイルはプラスの効果といえる成果があることを示唆しています。

  • 食後消費カロリー増加
  • 安静時代謝の上昇
  • 体脂肪減少
  • 腹部脂肪減少

しかしながら、これらの研究規模は小規模であり、専門家すべてがこれら効果を支持しているわけではありません。体重減少の効果が認めらていない研究もあり、全体的に一貫性がありません。

ココナッツオイルのダイエット効果の過信は禁物です。

ココナッツオイルは他のオイルと同様、カロリーが高いことに注意する必要があります。余分な摂取は、代謝率効率などの恩恵よりもカロリーオーバーのデメリットの可能性がでてきます。
カロリー摂取量をコントロールしながら料理に使用、摂取することが重要です。

ココナッツオイルのコレステロール・トリグリセリド・炎症への影響まとめ

ココナッツミルク

ココナッツオイルの研究で、コレステロールやトリグリセリド(※1)に及ぼす影響について調べた研究結果を抜粋します。

  • ココナッツオイルは、不飽和脂肪よりもHDL(善玉)コレステロールを増加させた。(少なくともバターと同程度)
  • ココナッツオイルは、紅花油や牛脂よりも総コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールを上昇させたが、大豆油やバターよりは低下させた。
  • トリグリセリドは、同程度の脂肪含量の他の食物油と比較して、ココナッツオイルではあまり変化みられなかった。
  • 炎症と酸化ストレスのマーカーは、他の油を摂取した人と比べて、ココナッツオイルを摂取した人の方がより減少していた。

ココナッツオイル摂取は、他のオイルに比べてHDLコレステロールを増加されていますが、LDLコレステロールの増加も示唆されていますので、摂取のし過ぎは禁物です。

LDL(悪玉)コレステロールの測定よりも正確な心臓病リスクの指標となるApoBやLDL粒子数については調べていないので、これらの研究についても今後期待したいです。

※トリグリセリド…トリグリセライドは私達の重要なエネルギー源です。 しかし増えすぎると、LDLコレステロールを増やし、HDLコレステロールを減らしてしまいます。 この状態を放置すると、動脈硬化が引き起こされ、さらには心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因にもなります。

ココナッツオイルのその他の健康効果

ココナッツミルク

歯の健康

ココナッツオイルを使ったオイルプリングを行うことで、歯垢の原因となる細菌が減少する可能性があります。10代の若者を対象とした研究では、歯肉炎が有意に改善されました。

ココナッツオイルを使ったうがい(オイルプリング)については、こちらの記事をご参照ください

乳がん患者のQOL向上

乳がんの化学療法を受けている間、食事に少量のココナッツオイルを加え、一緒に摂取することで、治療中のQOLを向上させる可能性があります。

まとめ

ココナッツオイルは健康全般、脂肪燃焼や生活の質の向上に役立つ食材である可能性を秘めています。

ココナッツオイル摂取時の反応には個人差があります。

身体にはある程度の脂質が必要ですが、適切なものを選び、どんな脂質であっても適度に摂取することが大切です。

飽和脂肪酸の1日の摂取カロリーは、全体の10%未満であることが望ましいとされています。

2015-2020 Dietary Guidelines for Americans

ココナッツオイルのメリット・デメリットを把握したうえで、日々の食事に足してみてください。

おすすめココナッツオイル

【レインフォレストハーブ 有機JASオーガニックバージンココナッツオイル】

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国内工場で充填されています。
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【CIVGIS 有機オーガニック エキストラバージンココナッツオイル】

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