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【実体験】無断駐車された時の対処法 徹底解説|関連法律まとめ

【実体験】無断駐車された時の対処法 徹底解説

わたし自身が契約している駐車場に、他人の知らない車が無断駐車してあるトラブルに3回見まわれました。

こういった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

この記事では、法的解釈を含めその対処法解説をします。

実体験・契約駐車場に知らない車が停まっていた

悩み

わたしの場合、賃貸マンションの敷地内の契約駐車場として2台契約しています。

ほかにも、月極駐車場などを契約している方、ご自身の所有土地に駐車している方も多いでしょう。

特に、賃貸駐車場や月極駐車場の場合、自分以外の人や車も出入りできることから、無断で駐車されるケースが起こり得ます。

実際に無断された3件(3台)のうち、業者の車だったケースが2件、一般車だったケースが1件です。

 では、そういった場合、どのように対処したら良いのでしょうか。

実体験・無断駐車に対して行ったこと

【実体験】無断駐車された時の対処法 徹底解説

まずは、無断駐車証拠の写真を撮影しました。車のナンバー、車種、あれば業者のロゴ、駐車している場所がわかるような全体写真を数枚撮りました。

そののち、業者の場合は業者の会社に電話を入れました。「お宅の車が我が家の駐車場に無断駐車して困ってる。直ちに立ち退くように」とそれと「いまかけている電話代を払うように」とも付け加えました。

業者はいずれもすぐに立ち退きました。

電話代100円も、その場で徴収しました。

一般車の違法駐車のケースが、最も厄介でした。

クラクションを数回鳴らしました。近くに犯人がいる場合、心当たりがあるでしょうから出てくるのではという思惑でした。

しかし反応がないので、管理会社へ連絡。管理会社からは大家の駐車場にとりあえず停めるようにと案内されました。

しばらくすると、管理会社の人が駆けつけてくれて、管理会社の人も無断駐車のクルマを撮影していました。

その後、各部屋を周り、無事犯人を特定してくれました。

犯人は住人の知人だったようで、住人にここに停めていいと言われたとのこと。住人は空き駐車場だと思ってたとのこと。なんでやねん。いつも停めてますがな。

管理会社の人に注意してもらいつぎに無断駐車したら、迷惑料1万円という誓約書を書かせて、ケースクローズドしました。

実体験・無断駐車に対して行ったことに、問題はないのか

わたしが独自の判断で行った無断駐車に対する対応は、法的に大丈夫だったのでしょうか?

問題がありそうなのは、無断駐車した業者から電話代徴収したこと、この記事に無断駐車した業者の車の写真を上げたこと、誓約書を取ったことが上げられます。

電話代徴収について

電話

今回のケースは、相手側の「無断駐車」が引き金になっています。のちに詳細を説明しますが、私有地への無断駐車は「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」が適用されます。

電話代は相手の不法行為に起因する費用ですので、法的に相手に電話代請求は可能です。

もしも支払いに応じない場合は、損害賠償を請求も可能です。

無断駐車した業者のクルマ写真のネット掲載について

ネット

ネット上に受けて被害の報告を掲載する例は、複数あります。「この会社は詐欺だ」「この店にはゴキブリが出る」などの情報が口コミサイトでも見受けられることがあります。

このような場合に該当すると言われている法律は、「名誉毀損罪」「信用毀損罪」「偽計業務妨害罪」が上げられます。いずれも刑法犯です。

しかしながら、これらの罪は真実性が客観的に証明された場合には、違法性は無いと判断されるケースが多いです。これについては、私は複数の無断駐車画像を保管済みですので、クリアと言えます。

(信用毀損及び偽計業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法233条

会社に対してのリベンジや嫌がらせ目的の公開はである場合は「名誉毀損行為」と見なされる可能性があります。

刑法230条で、(名誉毀損)は次のように定義されています。

(名誉毀損)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する

刑法230条

今回画像を公開した目的は、事実の公共性としての注意喚起のためであり、公益目的であります。

私の行動はグレーはゾーンであることは否めませんが、個人的な恨みではなく、無断駐車の迷惑性をお知らせするための記事ですこと、改めて主張します。

誓約書を取ったこと

書類

無断駐車した者に対して、二度と無断駐車をしないと一筆書いてもらうことに、法的な問題はありません。

ただし、相手を拘束して書かせたり、「書かないと〇〇するぞ」というような行為は「脅迫罪」に問われます。

(脅迫)
第1項  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第2項  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

刑法第222条

「誓約書」とは

「誓約書」は、当事者の一方からもう一方の当事者に差し出される書類であり、差し出す側(約束を守る側)のみ署名捺印する形式の書類です。

誓約書は、基本的に法的な効力を持ちません

ただし、「当事者間の合意がある」「公序良俗に反しない」といった条件が満たされていれば、誓約書も法的に有効な証拠として扱われるのです

ちなみに、「契約書」についてですが、「契約書」は、契約内容を記載した書類に当事者双方が署名捺印し、当事者双方が記載内容(契約内容)を遵守するための書類です。

有効に成立した契約の契約書には法的拘束力があり、トラブルが発生した際には裁判で有効な証拠として扱われます。
契約書は当事者が契約内容について確認するための書類という側面だけでなく「法律文書」としての性質も持ち合わせるため、法的に有効な契約書を作成するためには記載事項についての専門的な知識も求められます。したがって、素人が即興で作成するには、「契約書」はハードルが高いと言えます。

以上、わたしが無断駐車にあった際に行ったのはいづれも、直接持ち主に注意するということでした。

それでは、すぐに持ち主が現れない場合はどうすればよいのか、その対処法を見ていきましょう。

無断駐車に対して警察への通報は有効か?

私有地における無断駐車などのトラブルは基本的に民事扱いとなります。警察は民事不介入ですので、所有者を探し出して罰する、レッカー移動をしてもらうといったことは期待できません

しかしながら、もし最寄りの交番の警察官と顔見知りなどの関係性がある場合は、困っていると申し出たら車のナンバーから所有者を照会して連絡をとってくたり、対応についてのアドバイスをもらえる可能性があります。

地元の警察官と良好な関係にある場合は、相談してみる価値はあります。

無断駐車に対しての有効な法律は?

法律

道路交通法

道路交通法は公道における駐車を規制しているため、私有地にはその効果が及びません

住居侵入罪・建造物侵入罪

私有地内または建造物内に設けている駐車スペースに無断駐車している場合、刑法130条「住居侵入罪」または「建造物侵入罪」が適用されます。

住居侵入罪や建造物侵入罪の刑罰は、「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」とされています。

正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑法第130条(住居侵入等)

これは、持ち家でなくマンションなどの賃貸であっても適用されます。賃借人が契約している住居スペースのみではなく、ベランダや駐車場についても、契約者の許可なしに、また正当な理由なく侵入すれば、住居侵入罪と判断されたケースが、過去の判例でも上がっています。

ちなみに、マンションやアパートなど共同住宅の共有スペースについても住居侵入罪適用範囲です。

不退去罪

犯罪

無断駐車している人に対して退去するよう勧告してもそれに応じない場合は、住居侵入罪・建造物侵入に加え同条後段に規定する「不退去罪」が適用される可能性があります。

不退去罪は、「出てけ」と退去を命じているにもかかわらず、出ていかない〈退去に応じない〉場合に適用されます。

住居侵入罪等と同様「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」が科せられます。

(不退去罪)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法第130条

ちなみに、「不法侵入」は法律用語ではなく、広く、正当な理由なく他人の住居や建造物等に侵入することを意味します。

威力業務妨害罪

もし、無断駐車が原因で、仕事に用いているあなたの車が駐車できないなどして、それにより業務に支障や損失が生じた場合は、刑法第234条に規定する「威力業務妨害罪」に該当する可能性があります。

威力業務妨害罪が適用された場合、無断駐車をしている人に科される刑罰は、「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」とされています。

(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法第234条

無断駐車した車の所有者割り出しが可能

車のナンバーは個人情報には当たらない

クルマが繰り返し何度も無断で駐車するような場合には、運輸支局、自動車検査登録事務所で所有者の情報開示請求を行うといった対応手段もあります。

開示請求は、開示請求手数料を納付することで、個人・法人・国籍や理由などを問わず、どなたでもできます。開示請求手数料は一車両につき300円と、金銭的負担は少なく情報開示請求が行えます。

個人情報保護法が施行された以降は、自動車のナンバー(自動車登録番号)に加え、車台番号が分からないと照会できなくなりました。
 
自動車の車台番号は、車検証に書かれているものか、ボンネットを開けたエンジンルームに刻印されているものを確認する必要があるため、無断駐車の車の車台番号を調べることは困難であると言えます。

しかしながら、車両が放置されている場所、見取り図、放置期間、放置車両の写真など、無断駐車されている状況が分かる資料を追加することで、車の所有者の氏名、住所等を開示を求めることができるようになっています

具体的な情報開示請求方法は、こちらの記事をご参照ください。

無断駐車のクルマをレッカー移動したり、タイヤロックを取り付けてもいい?

レッカー移動

無断駐車のクルマへのセルフ対策として、レッカー車により車を移動させる、タイヤロックの取り付けて犯人を捕まえるなどの方法が考えられるでしょう。

結論から申しますと、クルマ所有者の承諾なく上記のような行動を取ることは、原則として許されていません。

自分の権利が侵害されている場合に、法の助けによらず、自力で侵害状態を解消しようとすることを『自力救済』といいます。
そして日本では、『自力救済』は原則として禁止されています。

そのため、私有地の所有者が自力救済をしてしまうと、無断駐車をしている人は、不法行為によって車が使えなかったこと等を理由に、逆に私有地の所有者を訴えることができるようになってしまいます。

決して自力救済は行わないでください。

※自力救済(自救行為)の原則禁止は,根拠となる法律条文がないのですが,その表れとして刑法242条が,自力で権利を奪いとることを禁止し,法的手段として民法200条(占有回収の訴え)によるものと規定しています。

オレンジ法律事務所

「無断駐車には金○万円を申し受けます」という表示は有効?

お金

「無断駐車には金○万円を申し受けます」と表示したにもかかわらず、無断駐車をしているのであれば、民法527条により、無断駐車をしている人は駐車料金○万円を支払うことに同意したうえで私有地の所有者と駐車契約をしたものとみなされる可能性があります。

(承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期)
第527条
申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。

改正後民法527条

しかしながら、「取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合」や「承諾の意思表示と認めるべき事実があった時」の解釈が厄介で、必ず契約が成立すると認めれられるわけではありません。

したがって、実際に〇万円をとれるかは微妙なところです。あまりにも高すぎる金額は暴利行為で公序良俗(民法90条)に反するものとして、無効になる可能性もあります。

周辺の駐車場の相場の金額程度であれば、請求できる場合があります。

以下のように、具体的な表示を大きく提示しておいたほうが、効果的かもしれません。

【注意】
「本駐車場において、所有者(契約者)以外の者が駐車する行為は、1時間あたり使用料金1万円で駐車場を利用するという内容の契約を承諾する意思表示にあたります(民法第527条)。」

無断駐車によって被った損害金は請求可能

ダメージ

無断駐車は他人の土地を勝手に占有する行為なので民法上の不法行為が成立します。

よって、具体的な表示をしていなくても無断駐車をした人は駐車場の所有者や管理者が被った損害を賠償する責任があります。

やむを得ず有料のパーキングなどを利用した、遠方に駐車することになりタクシーを利用したなどの場合は証拠を残しておくことで、それらの損害分も含めた請求が可能です。

先に説明した「無断駐車した車の所有者割り出し」に使用した手数料についても、相手側に請求が可能となっています。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法 第七百九条

無断駐車をするクルマに警告文を置く

【実体験】無断駐車された時の対処法 徹底解説

無断駐車をするクルマに警告文を置くことで、注意する方法も(相手が真面な人間ならば)有効です。

警告文に記載する内容は曖昧な表現を避け、無断駐車である旨がドライバーにはっきり伝わるようにしてください。

警告文に書くこと

  • ここは私有地であり、無断駐車されるのは大変な迷惑行為である
  • 運輸支局や自動車検査登録事務所で所有者情報の開示請求を行う
  • 開示請求後、ご本人様への対応を検討する
  • 警察へ相談し、車のナンバーを記録してもらった

警告文を置く際には、車に傷をつけるような警告文の置き方は避けてください。

無断駐車をした人が警告文を剥がすときに車体へテープや接着剤の跡が残ったり、塗装が剥げてしまったりした場合、車の所有者は警告文を張り付けた者を「器物損壊罪」で訴えることが可能になってしまうのです。

器物損壊等
(略)他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。 

刑法261条

テープや置石は絶対に使わずに、ワイパーなどに挟んでおくなど、車体に傷や汚れが付かない方法にしてください。

フリー素材の無断駐車イラストもおすすめです。→ACイラスト

管理会社へ連絡する

賃貸の方の基本の対応として、管理会社へ連絡する方法があります。わたしも管理会社のおかげで解決しました。

無断駐車している車の車種、色、ナンバーなどの特徴を控えて、写真を撮って管理会社へ連絡しましょう。

まとめ

無断駐車はとても迷惑な行為です。

「空いているからいいだろう」という安易な行為が他者に大きな迷惑をかけていることを自覚してもらいたものです。

わたしが実際に取った行動、無断駐車への対処法まとめが参考になりますと幸いです。

JAFに助けられた話はこちら

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