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ココナッツオイルプリング(うがい)は効果があるのか?研究論文をみよう

ココナッツオイルプリング(うがい)は効果があるのか?研究論文をみよう

ココナッツオイルが持つ健康効果や、髪と肌を美しく保つ効果については今や広く認知されていますが、ココナッツオイルが歯の健康にも有益であることは、ご存知でしょうか?

アーユルヴェーダ医学では、歯の洗浄と美白、口臭の軽減、歯茎の健康促進に「オイルプリング」が数千年も前から利用されてきました。

この記事では、ココナッツオイルプリング(うがい)に関する最新の研究と、ココナッツオイルが口内環境にどのような効果をもたらすかについてご紹介します。

また、オイルプリングの具体的な方法もお伝えします。

ココナッツオイルとオイルプリングに関係性

ココナッツミルク

ココナッツオイルは、ココナッツの果肉から抽出された食用油であり、植物ベースの飽和脂肪酸源の1つです。植物の中ではその含有量は世界一といえいます。

 Sci Food Agric. 2021 Apr;101(6):2182-2193. doi: 10.1002/jsfa.10870.

ココナッツオイルの脂質の主成分はラウリン酸です。
ラウリン酸は12炭素(C12)の中鎖脂肪酸(MCT)であり、ココナッツオイルの約半分を占めています。その他に少量のパルミチン酸(C16)とミリスチン酸(C14)も含まれています。

ココナッツオイルに含まれる脂肪酸は、口腔の健康に役立つ可能性のある抗菌特性を持っていることが示唆されています。

特に、ラウリン酸およびモノラウリン(ラウリン酸のモノグリセリド形態)は、抗菌特性を有することが確認されています。

 Sci Food Agric. 2021 Apr;101(6):2182-2193. doi: 10.1002/jsfa.10870.

Published online 2019 Oct 30. doi: 10.1177/0963689719881366

Pol J Microbiol. 2009;58(1):43-7.

実際、アーユルヴェーダ医学は何世紀にもわたって抗菌剤としてココナッツオイルを使用し、虫歯や口臭の原因となる細菌を口から取り除くと考えられている「オイルプリング」と呼ばれる方法で歯の健康を促進してきました。

 Am Coll Nutr. 2019 Feb;38(2):97-107. doi: 10.1080/07315724.2018.1497562.

ココナッツオイルは、街のスーパーやオンラインショップで簡単に手に入れることができます。そのなかでも味が良く、未加工であるエクストラバージンココナッツオイルの使用することをおすすめします。

まとめ

ココナッツオイルは、ココナッツの肉から抽出された食用油です。ラウリン酸が豊富なことから、口腔の健康を促進する抗菌特性がある可能性があります。

ココナッツオイルの口腔ケア効果

オイルプリングは、ココナッツオイルを口の中や歯の周りすすぐ方法のことです。

その抗菌特性に加えて、口の中のスウィッシングオイルは、歯に付着しているバクテリアや、歯垢の付着のクレンジング効果があると考えられています。

J Tradit Complement Med. 2017 Jan; 7(1): 106–109.

有害な口内細菌を除去する可能性

ココナッツミルク

ココナッツオイルは、口臭、虫歯、歯周病を引き起こす有害な細菌を除去する可能性が示唆されています。

J Am Coll Nutr. 2019 Feb;38(2):97-107. doi: 10.1080/07315724.2018.1497562.

Arch Oral Biol. Author manuscript; available in PMC 2012 Jul 1.

虫歯の主な原因であるストレプトコッカスミュータンスStreptococcus mutans)と呼ばれる口腔内細菌の殺菌に特に効果的です。

またカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)と呼ばれる流行菌を減らす可能性もあります

60人を対象とした1つのランダム研究では、ココナッツオイル(1日あたり10ミリリットル)で2週間オイルプリングを行うことで、 ストレプトコッカスミュータンス菌が大幅に減少することがわかりました。これは、一般的なうがい薬に含まれる抗菌成分であるクロルヘキシジンの使用に匹敵する効果でした。

J Contemp Dent Pract. 2016 Jan 1;17(1):38-41. doi: 10.5005/jp-journals-10024-1800.

8〜12歳の50人の子どもを対象とした別の研究では、ココナッツオイルで30日間毎日2〜3分間オイルプリングを行うことで、ストレプトコッカスミュータンスが大幅に減少することが観察されました。この結果はクロルヘキシジンを使用した対照群でも同様であり、ココナッツオイルがうがい薬同等に効果的である可能性があることを示唆しています。

J Int Soc Prev Community Dent. 2016 Sep-Oct;6(5):447-452. doi: 10.4103/2231-0762.192934.

しかしながら、2020年のレビュー書では、オイルプリングを口内細菌を取り除く効果的な治療法としての有効性を確立させるには、より大規模なランダム化比較試験が必要であることが言及されています。

Published online 2020 Aug 27. doi: 10.1016/j.heliyon.2020.e04789

ココナッツオイルの健康効果については、こちらの記事をご参照ください。

歯垢を減らし、歯周病と闘う可能性

戦う

歯肉炎としても知られる歯周病は、歯茎の炎症を引き起こします。

歯周病の主な原因は、口の中の有害な細菌による歯垢の蓄積で、口の中の不衛生と関連しています。

national library books/NBK557422/

現在の研究では、ココナッツオイルが歯のプラークの蓄積を減らし、炎症を抑えて歯周病と闘う可能性があることが示されています。

あるパイロット研究では、30日間ココナッツオイルでオイルプリングを行うと、歯垢による歯周病を持つ60人の参加者の歯垢の蓄積と歯肉炎の兆候が有意に減少しました。

さらに30日後、歯垢の平均スコアは68%減少し、歯肉炎平均スコアは56%減少しました。しかしながら、、この研究は対照群が無しで実施されましたので、比較対象がありません。

Niger Med J. 2015 Mar-Apr;56(2):143-7. doi: 10.4103/0300-1652.153406.

別のパイロット研究では、30日間、毎日20分間オイルプリングを行った後、歯垢指数と歯肉出血指数の両方のスコアに有意な減少を示しました。

Published online 2020 Sep 22. doi: 10.1055/s-0040-1714194

7日間のランダム化研究でも、ココナッツオイルで毎日10分間オイルプリングした後に同様の結果が得られました。しかし、対照群(ミネラルウォーターリンス)でも同様の結果が得られています。このことは、日常的に口をすすぐことが、歯垢の蓄積を減らす上でより大きな役割を果たす可能性が示唆された結果となりました。

Published online 2017 Sep 1. doi: 10.7860/JCDR/2017/26656.10563

これらの研究は、ココナッツオイルプリングが有益である結果を示していますが、今後、より大規模なランダム化比較臨床試験が必要です。

口臭予防

口臭

一般的な口臭の原因は、口腔環境に影響されます。特定の病状や薬の服用で口臭を悪化させることもありますが、口臭の最大85%は、口腔衛生状態と口腔の健康状態の悪化から生じています。

歯肉炎、虫歯、舌の膜、食べ物の残骸、細菌の蓄積は、不快な口臭を引き起こす可能性があります。

national library books/NBK534859/

口臭に悩んでいる人は、ココナッツオイルでオイルプリングを行うと改善する可能性があります。ココナッツオイルには、臭いの原因となるバクテリアを口から取り除く抗菌特性があります。さらに、歯、頬の内側、舌などに付着した食べかすの蓄積を減少させることにつながるかもしれません。

Int J Health Sci (Qassim). 2017 Sep-Oct; 11(4): 65–70.

ランダム化パイロット試験では、ゴマ油でオイルプリングを行った後、器官的口臭評価と自己申告の口臭スコアが有意に減少することが観察されました。

ココナッツオイルには、ゴマ油と同様の鹸化(けんか)作用と抗菌特性が含まれているため、同様の結果が得られる可能性があります。

しかしながら、特にココナッツオイルに関するランダム化比較試験が必要であるといえます。

まとめ

ココナッツオイルの抗菌特性は、虫歯、歯垢の蓄積、口臭につながる有害な口内細菌を減らす可能性があります。ただし、さらなる研究調査が必要です。

ココナッツオイルでオイルプリングする方法

ココナッツミルク

プリング(pulling)とは「引きはがす、引っ張り出す」という意味です。つまり、オイルを使って口内の汚れを引きはがすことを「オイルプリング」といいます。

オイルプリングは、10〜20分間口の中でオイルを回し、吐き出す行為です。言い換えますと、マウスウォッシュをオイルで代用するという認識で大丈夫です。

方法は次のとおりです。

  1. ココナッツオイル大さじ1を口に入れます。
  2. オイルを10〜20分間口内で回したり、歯隙間を通すようにオイルを押したり引いたりします。
    このとき、オイルをが唾液と混ざり薄まると感じるかもしれませんが、問題ありません。オイルを乳化させることで汚れが落ちやすくなります。
  3. オイルを吐き出します。
    飲み込まないように注意してください。細菌や汚れを一緒に飲み込んでしまうことになります。
    また、オイルが固まりシンクパイプを詰まらせる可能性があるため、オイルはゴミ箱に捨てましょう。
  4. 通常通り、歯を磨きます。

オイルに含まれる脂肪酸がバクテリアを引き寄せ、捕らえるので、オイルプリングをするたび有害な細菌と歯垢を口の中から取り除いていることになるのです。

朝起きた直後や、食前にオイルプリングを行うことも有効的であるといえます。

ココナッツオイルプリングは歯磨き代わりにはならない

口内環境改善

ココナッツオイルを使ったオイルプリングは、口腔衛生環境の改善になりますが、決して歯磨きの代わりになるものではありませんので、ご注意ください。

健康な口内環境を維持するためには、フッ素入り歯磨き粉を使用して1日2,3回(毎食後)、ブラッシングとフロスをすることです。また、舌や頬の内側を歯ブラシで優しくこすったり、磨いたりしましょう。

さらに、1日定期的に水を飲む、甘い飲み物や食べ物を制限する、喫煙を避ける、栄養価の高い食事をする、定期的に歯医者でクリーニングや歯石取りをしてもらうなど、これら行うことで口腔環境をきれいに保つポイントです。

まとめ

現在の研究では、ココナッツオイル(口の中でオイルを10〜20分間スウィッシュする)でオイルプリングを行うと、口の中の悪玉菌を減らし、歯肉炎や虫歯を防ぎ、口臭を取り除くことができると示唆されています。

興味を持ったかたは、いつもの歯磨き習慣にココナッツオイルプリングを取り入れてみてください。

ココナッツミルクの健康効果については、こちらの記事をご参照ください。

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