要人を守るため、または任務遂行のためという大義名分のもとに、天導衆の命あらば、相手がだれであろうとも暗殺を遂行していた組織「八咫烏」。
銀魂では、八咫烏は天導衆の配下の暗殺組織として、描かれていました。特に凄腕の八咫烏を「奈落三羽」と呼ばれており、朧(おぼろ)や今井信女がそうでした。
それでは、「八咫烏」の元ネタはなんなのか、ご存知でしょうか?
世界で一番長い歴史を持つといわれている秘密結社は、「フリーメイソン」でも「イルミナティ」でも、ましてや「鷹の爪」でもなく、実は日本の「八咫烏」であるといわれています。
これが銀魂の八咫烏や天導衆の元ネタになっていると考えます。
それでは、秘密結社 八咫烏とはどのような組織なのか、銀魂の内容と絡めながら紹介していきます。
神話の八咫烏
日本神話に八咫烏が登場します。そしてこれが八咫烏の始まりです。
日本神話に登場する八咫烏は「導きの神通力を持つ」として、高貴なカラスとして描かれています。
天照大神(日本神話に登場する神) によってカムヤマトイワレビコ(以下イワレビコ)のもとに遣わされて、熊野国( 現在の和歌山県南部と三重県南部からなる地域 )から大和国( 現在の奈良県 )への道案内をしたとされています。
イワレビコは後に神武天皇となり、初代天皇となる人物です。そんな彼が東へ向かう道中で苦戦しているところに、八咫烏が来て、彼の旅を順調なものにしました。
そうしてイワレビコは大和に入り、天下を治めることになり、初代の天皇である神武天皇が誕生しました、という感じの話です。
この神話を元にした神社で有名なのは、奈良県の八咫烏神社や、和歌山県の熊野那智大社です。
一般的には八咫烏は三本足の姿で知られ、古くよりその姿絵が伝わっています。
この三本足と銀魂の「奈落三羽」は、意図して空知先生が掛けているのかもしれませんね。
またそのサイズは「八咫」という大きさを表す言葉が使われているところを見ると、通常のカラスよりも巨大だったと考えられます。「咫」というのは、長さを表す単位として、親指と中指を広げた長さの約18cmを指します。つまり「八咫」というのは言葉通りに捉えると、約144センチとなるようです。とても大きなカラスですね。
日本サッカー協会のマークは八咫烏
上記の神話のように、八咫烏は「導きの神」として崇められ、信仰されてています。太陽の化身とも呼ばれています。
このことから、日本サッカー協会のマークは八咫烏が描かれていて、日本代表ユニホームにも採用されています。
「勝利を導く」「ボールをゴールに導く」という意味が込められているとのこと。
和歌山出身で日本にサッカーを本格的に紹介した明治の指導者、中村覚之助(1878~1906年)が、八咫烏のマークを決めました。
今でもW杯の前などに、八咫烏信仰のある和歌山県の熊野那智大社へ、日本サッカー協会の関係者が参拝し、日本代表の勝利を祈願をしています。
サッカーと銀魂でしたら、みんなでサッカーする回がありましたね。
おそ松くんパロディ回としても有名ですので、チェックしてみてください。
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その後の八咫烏の役割
神武天皇を導いたのちの八咫烏については不明な箇所ばかりですが、歴史の表舞台に出てきた時期はわかっています。
それは今からさかのぼること1300年ほど前の西暦744年。聖武天皇の命令により、今の京都から兵庫県あたりにあった丹波の国で組織としての「八咫烏」が結成されました。
この八咫烏の結成の目的は天皇家を守り、継承していただくこと。
日本の思想の中心である神道において、天皇が神と繋がる唯一の存在とされています。そんな天皇守り、神道の知識や思想を後世に伝承することが、八咫烏の大きな役割でした。
その権力は、天皇と同等であることを認めらていたともいいます。
そして、天皇の地位や命が危うくなった時には、その原因となる事象の排除を遂行していました。そこには「暗殺」も含まれています。
八咫烏により暗殺されたと言われている有名人物は、以下の通りです。
- 室町時代に自分が天皇になると野望を抱いた足利義満
- 戦国時代に天下統一をして、天皇よりも高い地位を築こうとした織田信長
これらはあくまでも説に過ぎず、真意は不明です。
ですが、いずれも天皇の権力を脅かすようになってから不自然な死を遂げていることだけは確か。
裏から国を動かすだけの力がある点では銀魂と似ていますが、国のためと謳いながら、アルタナ欲しさに国を都合良く動かそうと将軍すら暗殺していたため、銀魂の天導衆と秘密結社八咫烏とは、似て非なる設定といえます。
都合よく国を裏から動かす点でいえば、GHQのほうが天導衆と似ているように思えます。
近年の八咫烏について
江戸時代以前までの八咫烏は天皇の表裏一体の存在として、神道の儀式を取り仕切り、政治を動かしてきました。
しかし、明治以降は徐々にその存在感が失われていったようです。
太平洋戦争の敗戦後はGHQによって国家神道の廃止命令が出されました。それによって八咫烏は失墜したとのこと。
日本国憲法20条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
Wikipedia
しかし八咫烏は完全に解体したわけではなく、中国地方などで活動が行われていた記録があります。
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八咫烏を祭る神社が複数ある
管理人が調べたところ、奈良県以外にも八咫烏の名の付く神社が9カ所存在しました。
西日本ばかりですので、イワレビコが立ち寄ったとされる場所、もしくは八咫烏信仰者が建設したと思われます。
もしも、お近くに八咫烏神社がある際には、ぜひ参拝に行かれて見てください。
銀魂の聖地巡礼にもなるかも