今回ご紹介していく銀魂エピソードは、土方さんと沖田さんが地愚蔵という謎の仮面男に拉致されるお話です。
このエピソードの肝となる『地愚蔵』の元ネタとなった映画「SAW」の、どこの設定が銀魂に使われたのかなどを徹底解説しています。また『チューパット』についてや、監禁時の土方さんと沖田さんのタイムスケジュールをまとめてました。この記事を読めば、地愚蔵エピソードマスターになれるでしょう！
漫画は第27巻
- 第303訓「チャックはゆっくり引き上げろ」
- 第304訓「悪い奴ほどよく眠る」
- 第305訓「チューパットを二つに分ける時はあの持つトコある奴の方がなんかイイ あそこから飲むのもオツ」
アニメは 3年目
- 第148話「チャックはゆっくり引き上げろ」
- 第149話「チューパットを二つに分ける時はあの持つトコある奴の方がなんかイイ あそこから飲むのもオツ」
あらすじ
土方さんと沖田さんは、パトロール中に何者かに拉致され、気がつくと廃墟の一室にいました。首輪と太い鎖に繋がれて、外への脱出はできない様子。そこに突如、部屋のモニターに「地愚蔵」となのる不気味な仮面を被る謎の男が映しだされ、今回の拉致監禁の目的が語られます。
土方さんと沖田さんは、無事に脱出できるのでしょうか。
銀魂 ネタバレあり解説
これからネタバレありで、元ネタ解説等していきます。
原作未読、未視聴のかたはご注意ください。
犯人 地愚蔵の動機
地愚蔵は自らを「真選組のファン」と言っています。いままでいくつもの真選組の困難をみてきたと言い、そしてその困難を仲間と共に切り抜けてきたことを讃える地愚蔵。
「決して切れることのない鉄の絆。そう、その絆こそが君たち最大の武器。それこそが私を強烈に惹きつけるもの」
地愚蔵、とてもいい事を言っています。いち真選組ファンとして、地愚蔵と語り明かしたい思いです。
そんな銀魂クラスターに劣らぬ真選組ファンな地愚蔵は、真選組の絆を間近でみたいという身勝手な理由から、真選組を窮地に陥れる大掛かりな「ゲーム」を始めるのです。
前言撤回、こんな害悪はファンなかれ。
地愚蔵が仕掛けたトラップ
真選組屯所へのトラップ
地愚蔵は、真選組の屯所に3日後に爆発するような爆弾を仕掛けたと言います爆弾の場所は「通信室」。
爆弾が屯所にあること、そしてその場所も、爆発する日も地愚蔵から直接話を聞いている土方さんと沖田さんしか知りません。
屯所の仲間を助けるには、みんなを避難させる、または爆弾を解体する必要がありますが、そのためには監禁場所から爆発予告日までに脱出しなければなりません。
土方と沖田へのトラップ
土方さんと沖田さんは、監禁された時点で鎖がつながった首輪をつけられています。
この鎖は土方さんと沖田さん同じ1本の鎖で、パイプを介して繋がっています。
地愚蔵は、「ゴールのないゲームはつまらない。」という理由から、土方さんと沖田さんがこの監禁場所から脱出できるような準備をしていました。
それは首輪解除の鍵を一つ、部屋の隅に置いておくこと。この鍵を使えば、首輪は解除できると言います。
しかしながら、二人が容易に鍵を使うことができないような施しがされています。
- その鍵の場所までたどり着いたには、一方がパイプと壁の間にめり込む勢いでないと届かない。
- 鍵で一方の首輪を外すと、もう一方の首輪は爆発する。
なんとか鍵が取れたとしても、脱出できるのはひとりだけ。もうひとりは首ボカンです。
地愚蔵「大切な仲間達を救うために、まずはここで仲間を一人殺さなければならない」
地愚蔵「見せてもらおう、君達の絆というものがこの苦難で、どんな答えを導きだすのか」
二人が脱出する手段
「ゲーム」と称して苦難を押し付けてきた地愚蔵。
ここで、土方さんと沖田さんに与えられた選択肢は以下の通りです。
- 土方さんが沖田さんを犠牲にして首輪を解除、土方さんが屯所の仲間を助けに行く。
- 沖田さんが土方さんを犠牲にして首輪を解除、沖田さんが屯所の仲間を助けに行く。
- 土方さんも沖田さんさんも監禁場所を動かず生存、屯所は地愚蔵が仕掛けた爆弾で爆発。
- 首輪ではなく鎖やパイプのほうを壊して二人で脱出、屯所の仲間を助けに行く。
なかなかの無理ゲーです。
果たして二人はどのような選択をするのでしょうか。
土方さんと沖田さん、３日間の監禁生活
二人が拉致されてから３日目途中までの監禁生活タイムスケジュールをまとめました。
二人の行動詳細は原作でご確認，復習ください。
監禁生活3日目にして、新たな道具を手に入れる
首輪を外すための鍵が無くなり、鎖も一向に切れる気配がない。
これはもう積んだというところで、地愚蔵は「もう一度チャンスをやる」と言い、室内のロッカーを開けるように指示します。
ロッカーの中からは「1本のチューパット グレープ味」、そして「糸ノコギリ」が出てきます。
※チューパットについては、後述します。
結論から言いますと、この糸ノコギリは鎖やパイプを切るためのものではありません。
地愚蔵の狙いはこうです。「どちらかの首を切り落として脱出させる。」
銀魂エピソードの元ネタは「SAW」シリーズ
設定が出揃いましたところで、今回のエピソードの元ネタ解説をします。
元ネタはホラー映画「SAW」シリーズです。
「SAW（ソウ）」は、ジャンルはホラーですが、他に類を見ない独創的な作品です。
連続殺人鬼「ジグソウ」は、目的を持って「被験者」を選び、生存を賭けた残忍で狂気に満ちたゲームを強制的に行わせる話です。
選ばれた被験者はみな共通点があるのですが、その関係性は複雑で、犯人の動機や目的を推理するのは難解です。
SAWシリーズは、現在9作品あります。今回銀魂の話のネタになったのは、1作目である「SAW」であると考えます。
銀魂で使われた「SAW」の要素
「SAW」では、被験者二人がバスタブの中に寝かされた状態から始まります。被験者二人は対角線上の部屋の隅に各々足首に鎖がつながれた状態で、死のゲームを強制させられるのです。
銀魂で使われた「SAW]の設定は、以下の通りです。
- 不気味な仮面※1
- 鎖で繋がれて監禁されているところ
- 制限時間内にミッションを遂行しなければ、人質が殺されるところ
- ノコギリで鎖が切れることはなく、身体を切り落として脱出する選択肢を与えているところ
- 犯人の名前「地愚蔵」が、SAWの犯人「ジグソウ」とくりそつ
※１ 不気味な仮面について、SAWでお馴染みの不気味な顔は「ビリー人形」といいます。
この人形はジグソウが彼の被験者に録音メッセージを配信するために使用されます。メッセンジャーのような役割です。
管理人はSAWシリーズを全て観ました。
ただグロテスクなだけではなく、人間の行動心理パターン、社会的メッセージがある作品です。人物の描き込み、ストーリー展開が気に入っていますが、個人的には1作目SAWの、密室パニックと推理していく感じが一番興奮を覚えたので印象的です。
2作目からは時系列がちょっとややこしく、数回見返して「そういうことか」と繋がっていく感触が得られました。
単純なサイコサスペンスホラーを楽しむには、今回の銀魂エピソードの元ネタであり、伝説の1作目と名高い「SAW」がオススメです。
SAWの動画も見放題対象！
空知先生はどこまで観たんだろう
ちなみに、英語『saw』は日本語訳で『ノコギリ（鋸）』の意味です。
SAWにも負けてない？土方さんと沖田さんの心理戦
普段から自身の命を狙っている沖田さんとの今の危機的状況、「自分を殺す大義名分ができた」この状態で、沖田さんの裏切りに身構える土方さん。
沖田さんは沖田さんで、土方さんの裏切り行為に警戒します。
しかし、お互い「自分が裏切る」ということは考えておらず、「裏切った相手を粛清の元に殺す」ということを虎視眈々と狙っております。
相手に隙をみせて裏切らせるために、背を向けて用を足したり、寝ようと提案したりしますが、完全硬直状態です。
そんな心理戦の中、自身が裏切り者にならないように鍵を外に捨ててしまう土方さん。
いつも以上にデットヒートするふたり。これはもうアカデミー賞ものです。
銀魂ゲストキャラ 地愚蔵について
地愚蔵はモニター越しに姿をみせています。
不気味な仮面にスーツ、全身包帯という不穏な格好です。自身のことを「虚無より産まれし虚（うつろ）な存在」と言っています。
しかし、実際は実家暮らしの学生です。
地愚蔵の本当の名前は「ヒロシ」といいます。
学校はさぼりがちで、お母さんにだけ強気なタイプです。
パーマのお母さんがごはんができたと呼んだり、学校に遅れると起こしにきたり、ファミ通買ってきてくれたり...とても甘やかされてますね。
ファミ通
『ファミ通』は、KADOKAWA Game Linkageが発行する日本の家庭用ゲーム雑誌。
地愚蔵が自身の設定を語っていたとき、お母さんが映り込んだところで土方さんが「今 虚無 一瞬映ったぞ！」と突っ込んでいましたが、アニメのエンディングでは地愚蔵設定に則り、映り込んだパーマお母さんは「虚無」となっていました。
次の回では地愚蔵設定が剥がれましたので、「ヒロシ」「お母さん」「お父さん」と、一般家庭の紹介になっています。
- 銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅 アレックス・キャゼルヌ
- 心霊探偵八雲 石井雄太郎
- しろくまカフェ リンリン(林厘太郎）
銀魂アニメオリジナル｜チューパット論争が繰り広げられる
原作では、ロッカー裏に貼り付けられてたチューパットについて、下の長い方をどっちが取るかジャンケンで決めるいう展開で留まっていましたが、アニメでは、ロッカー裏の冷凍庫からチューパットが見つかっています。
つまり、アニメのチューパットはジュースではなく、アイス状だったということです。そして、この凍ったチューパットをどう食べるかで、土方さんと沖田さんが激しい討論を繰り広げます。
- 原作ではチューパットはジュース
- アニメではチューパットはアイス
そもそも、「チューパット」ってなに？
画像をみれば「あーこれねー」とわかりますが、これ、チューパットっていうの？
管理人はこれを「棒アイス」と呼んでいました。
調べてみたところ、「チューチュー（チューチュー棒)」と呼ぶひとが最も多く、次いで「チューペット」「ポッキン（ポッキン棒）」「チュッチュ（チュッチュ棒）」と呼ばれる率が高いらしいです。
参考｜チューチュー？ポッキン？ これが地域別「折るアイス」呼び方マップだ(全文表示)｜Jタウンネット
「チュッチュ」とか言われたら、チュウ求められてるのかと勘違いしちゃう。
様々な呼び名があるようですが、銀魂で呼ばれてる「チューパット」は、商品名でもみつけることができませんでした。
チューパットは銀魂オリジナルの呼び名なようです。
「チューペット」という商品が、1975年から2009年9月まで前田産業により製造、販売されていたようで、この「チューペット」は商標登録がされているのでそのままの名前を作品で使うことができず、銀魂では「チューパット」になったのかと考察します。
沖田さんのチューパット作法
- チューパットのちょっと長いところを「持つところ」としている。
- 飲むのは、中央くびれを半分に折るった箇所。
- チューパットは分け合って食べるもの。姉上とどっちを食べるかで喧々諤々やってたそうです。※２
- ひとりっ子はチューパットは手をベタつかせながら食べたらいい。
- チューパットは元より凍らせて食べるもの。
※２【喧々諤々（けんけんがくがく）】
大勢の人がくちぐちに意見を言って騒がしいさま。集団で討論するときに使われる言葉です。
例)ミーティングが喧々諤々していた。
沖田さんは姉上と喧々諤々だったと話していますが、個人の討論では使用しません。
テストにでるかもよ。
土方さんのチューパット作法
- チューパットのちょっと長いところを切って飲む。ここからチューチュー吸いながら食べるからこそチューパットという名前になったのだと語る。
- 真ん中から折って食べたら半分食べてる間に、もう半分が溶けて手がベトベトなるから邪道。
- 凍らせて食べるだけがチューパットではない、液体として飲むことも考えるべきだ。よって、このちょっと長いとろこは切るためにある。
互いに譲らぬ、チューパットの食べ方
しかし、チューパットのちょっと長いところを沖田さんが「あんな乳首みないなもん」と形容したところで、土方さんが畳み掛けます。
土「乳首はなんのためにある？」
土「そうだよ乳首は吸うためにあるんだよォ」
完全論破！！！..なのでしょうか？
この討論の末、サブタイトルも変更になります。
タイトル変更前「チューパットを二つに分ける時はあの持つトコある奴の方がなんかイイ あそこから飲むのもオツ」
↓
タイトル変更後「チューパットを二つに分ける時は切り口がある方がなんかイイ あそこからのむのが普通」
ちなみに筆者はチューパットは絶対凍らせて、半分に割って一人で交互に食べてました。手がベトベトにならないよう、溶ける前に食べます。
みなさんの食べ方もぜひ教えてください！
銀魂サブタイトル「チャックはゆっくり引き上げろ」は教訓なのか？
今回のエピソードのもう一つのサブタイトルである「チャックはゆっくり引き上げろ」。
土方さんが沖田さんに隙を与えないように慌ててズボンのチャックを上げたがために、起きた悲劇からきていますが、実際のところチャックに挟んで血が三滴たれるような事故が起こるものなのでしょうか？
筆者は女ですので、この危険性については想像が及びません。そこで主人に尋ねてみました。
おしっこ終わってチャック上げるとき、チ〇コ挟みそうになったことある？
無いよ
即答でした。
現実では起こりにくいことのようです。
土方さんの事故は、緊迫した状況、かつ確認不足が故の不運なものでした。
しかしながら、チャックを急激に動かすと、チャックが外れたりして壊れる原因ともなり得ますので、やはりここはサブタイトル教訓を胸に、チャックは丁寧に扱いましょう。
土方と沖田の決断は..
（バカやってるうちに)屯所爆発までのタイムリミットが迫ります。先に動いたのは沖田さんでした。ただし自主的に「動いた」のでではなく、3日の不眠不休と断食で限界がきて倒れてしまったのです。
沖田さんは自分はもう限界だから、仲間は土方さんが助けてほしいと後のことを託します。
このときの沖田さんとても塩らしく、
「本当は土方さんがうらやましかったのかもしれない」
「今まで迷惑かけてすみません」
と普段の沖田さんからは天地がひっくり返っても出なさそうな言葉を並べられます。
そんな沖田さんに土方さんは、「屯所の連中もお前も、一人として死ぬことを許さん」と、目の前の沖田さん誰の命も、屯所の仲間の命も犠牲にしない方法を模索します。
沖田さんは考える土方さんの背中を見ながら糸ノコギリを手に取り
「忘れてくだせェ。さっき言ったことは全部。」
そう言って、自らの首を糸ノコギリで斬るのでした。
このシーンは胸が締め付けられました…
ぜひ何度でも原作、アニメをお楽しみください！
諦めない熱い漢、土方十四郎
自らを犠牲にした沖田さん。
そこに地愚蔵は畳み掛けます。
「さぁ斬り落とすといい、友の首を」
自害を図りすでに動かなくなった沖田さんの首を落とすことで土方さんが動けるようになり、そうして脱出しろと煽ってくるのです。
しかし土方さんは、そんな地愚蔵の言葉を無視し、血まみれの沖田さんを抱え上げ、「俺がかっ切りたいのはうす汚ねぇ面被ったその面だァァァ」と、自身の限界以上の力で前進し、鎖がつながっていたパイプをへし折って鎖を解き、脱出成功させるのでした。
今回の銀魂エピソードの黒幕
沖田さんを背負い、監禁されていた建物からの脱出をはかる土方さん。
沖田さんから脈を感じることから「お前は絶対俺が助け」と思っていると、足元が崩れ階下へ落下しそうになります。
沖田さんは元の階の足場に留まれましたが、土方さんが数メートル下でかろうじて片手を引っ掛けて落下を阻止しています。
「繫がったままの鎖をなんとかしないと、このままでは総悟も道連れだ」
そう考えてとき、瀕死のはずの沖田さんはケロッとした顔で起き上がり、首輪を外し、その首輪を土方さんのいる下の方へ放り投げます。
呆気にとられる土方さんに沖田さんはいつものポーカーフェイスで言います。
「楽しかったです。また今度遊んでくださいね。」
沖田さんが放った首輪が土方さんの頭にヒットし、まだ状況を飲み込めていない様子の土方さんは、建物のはるか階下へ落ちていくのでした。
今回の事件は沖田さんが黒幕で、地愚蔵..もといヒロシに共謀者として協力を仰いだようです。
もちろん、屯所の爆発も嘘。
沖田さんとヒロシがどこで知り合ったのか気になるところですが、沖田さんは意外と顔広いですからね。ヒロシは引きこもりがちな生活のようですし、オンライン上でのみ関係な気もします。
アニメ版で、沖田さんがヒロシに「お疲れ〜」というところ、大学生同士で交わされている軽いかんじの「お疲れ〜」のように聞こえて、個人的に好きです。
「次回のターゲットは銀髪の天パの奴にしようと思ってる」
そんな会話で今エピソードは幕を閉じましたが、ぜひとも銀髪の天パの奴バージョンみてみたいです。
まとめ
今回は登場人物も少なく密室でのストーリーでしたが、銀魂独特の安定した場面展開で
笑いあり、偽感動ありの良いエピソードでした。
何度でも見て笑いましょう。
参考書籍
