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亜硫酸塩(酸化防止剤)がワインに添加されていることの影響を、研究論文からみる

 

亜硫酸塩は、ワインの風味と鮮度を維持する作用があるため、ワイン醸造にて広く使用されている食品保存料です。

ワイン以外の多くの食品や飲料に含まれていますが、特にワインに関連する副作用の報告が多く上がっています。

亜硫酸塩の影響を受けやすい人がいることは、研究により明らかになっています。

亜硫酸塩に耐性がある人がいる一方で、じんましん、腫れ、胃痛などの深刻な副作用を経験する人もいますので注意が必要です。

この記事では、ワインに含まれる亜硫酸塩の用途と副作用を研究論文をもとにご紹介します。

さらに、亜硫酸塩の摂取を制限するための方法についてもお知らせいたします。

亜硫酸塩とは?

亜硫酸塩(酸化防止剤)がワインに添加されていることの影響を、研究論文からみる

亜硫酸塩は一般に二酸化硫黄とも呼ばれ、亜硫酸イオンを含む化学化合物です。

紅茶、ピーナッツ、卵、発酵食品など、さまざまな食品に自然に含まれている成分です。

亜硫酸塩は、風味向上剤および食品保存料として食品産業全体で使用されています。

亜硫酸塩は、腐敗を遅らせ、変色を防ぐ働きがありますので、清涼飲料水、ジュース、ジャム、ソーセージ、ドライフルーツや漬物野菜によく添加されています 。

Amazonより

Gastroenterol Hepatol Bed Bench. 2012 Winter; 5(1): 16–23.

食品亜硫酸の上限量
かんぴょう5.0g / kg未満
乾燥果実(干しぶどうを除く)2.0g / kg未満
干しぶどう1.5g / kg未満
乾燥じゃがいも、ゼラチン、ディジョンマスタード0.50g / kg未満
雑酒、果実酒(ワインはここに含まれる)0.35g / kg未満
天然果汁(5倍以上に希釈して飲用に供するもの)0.15g / kg未満
参考:公益財団法人 日本食品化学研究振興財団「各添加物の使用基準及び保存基準」

まとめ

亜硫酸塩は、一部の食品に自然に含まれる化学化合物の一種で、食品保存料として他の食品に添加されます。

ワインにおいての亜硫酸塩の用途

亜硫酸塩(酸化防止剤)がワインに添加されていることの影響を、研究論文からみる

ワイン醸造工程において亜硫酸塩は、味覚、外観、保存性を向上させるために使用されます。

National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information

また、ワインの色や風味を変化させる褐変を防ぐのに効果的です。

J Agric Food Chem2012 Apr 4;60(13):3507-14. doi: 10.1021/jf205290w. Epub 2012 Mar 26.

Food ChemistryVolume 108, Issue 1, 1 May 2008, Pages 1-13

さらには、亜硫酸塩の抗菌性の作用により細菌の増殖を防ぎ、汚染や腐敗を防ぐことを示す研究もあります。結果的に長期保存期を可能にしています。

Appl Environ Microbiol. 1997 Jan; 63(1): 1–6.doi: 10.1128/aem.63.1.1-6.1997

メタ重亜硫酸カリウムなど特定の種類については、ワイン醸造用の樽や設備の除菌に使用されています。

Ann Allergy. 1985 Nov;55(5):686-90.

ワインの酸化を抑え鮮度を維持するために亜硫酸塩は添加されます。

亜硫酸はとても酸化しやすいので、亜硫酸を加えることで他の成分に先立って酸素と結合し、ワインの酸化を防いでくれるのです。

またワインのアルコールから酸化して生じるアセトアルデヒドと、亜硫酸が結合することにより、すでに酸化していた状態回復としても作用してくれます。

Appl Environ Microbiol. 1997 Jan; 63(1): 1–6.doi: 10.1128/aem.63.1.1-6.1997

ワインに亜硫酸塩を添加する技法は、数千年前の古代エジプトやローマ時代から利用されていたと言われています。

亜硫酸塩とワインの関係は歴史が深いのです。

まとめ

亜硫酸塩は、細菌の増殖抑制・褐変防止・ワイン生産に使用される機器の除菌と、幅広く活躍しています。

亜硫酸塩の人体への影響について

亜硫酸塩(酸化防止剤)がワインに添加されていることの影響を、研究論文からみる

ワインに含まれる亜硫酸塩は、多くの人が安全に摂取でき副作用のリスクもほとんどありません。

しかしながら食品医薬品局(FDA)によると、人口の約1%が亜硫酸塩に過敏で、そのうちの約5%が喘息を持っているといわれています。

https://edis.ifas.ufl.edu/publication/fy731

よって亜硫酸塩に敏感な喘息患者は、亜硫酸塩を摂取することで気道が刺激される可能性がありますので注意が必要です。

Gastroenterol Hepatol Bed Bench. 2012 Winter; 5(1): 16–23.

また、亜硫酸塩化合物は、敏感な人に頭痛を引き起こす可能性があります。

ワインによる頭痛の既往歴がある80人を対象としたある研究では、亜硫酸塩の濃度が高いワインを飲むと、頭痛のリスクが高くなることがわかりました。

Eur J Clin Nutr. 2019 Sep;73(9):1316-1322. doi: 10.1038/s41430-019-0420-2. Epub 2019 Apr 8.

しかし亜硫酸塩のみが頭痛の起因となっているともいえず、アルコール、ヒスタミン、チラミン、フラボノイドなど、ワインに含まれる他のいくつかの化合物も、症状の原因になっている可能性もありますこと、お伝えいたします。

J Headache Pain. 2008 Feb;9(1):19-27. doi: 10.1007/s10194-008-0006-1. Epub 2008 Jan 30.

亜硫酸塩の副作用は他にも報告されており、じんましん、腫れ、胃痛、下痢、まれにアナフィラキシー(重篤で死に至る可能性のあるアレルギー反応)などがあります。

アレルギー体質のかたは、これらのことをご念頭に置いていて、亜硫酸塩との付き合い方をご検討ください。

Gastroenterol Hepatol Bed Bench. 2012 Winter; 5(1): 16–23.

まとめ

ごく一部の人々は亜硫酸塩に敏感で、頭痛、じんましん、腫れ、胃痛、下痢などの副作用を経験することがあります。喘息のある人は、亜硫酸塩化合物が呼吸器官を刺激することもあります。

亜硫酸塩摂取を最小限に抑える方法

亜硫酸塩(酸化防止剤)がワインに添加されていることの影響を、研究論文からみる

亜硫酸塩に敏感だと思われる方は、摂取を控えることが健康への悪影響 を防ぐカギとなります。

流通しているワインのほとんどに亜硫酸塩は含まれていますが、メーカーの努力により亜硫酸塩を添加していないワインも販売されています。

また、赤ワインは、白ワインやデザ ートワインなど、他のワインに比べて含有量が少な いです。

亜硫酸塩を避けるためには、このことも知っておいてください。

J Headache Pain. 2008 Feb;9(1):19-27. doi: 10.1007/s10194-008-0006-1. Epub 2008 Jan 30.

ワインの種類亜硫酸塩限度(EUのワイン法)
スティルワイン(赤)150mg/L 以下
スティルワイン(ロゼ・白)200mg/L 以下
糖分含有量5g/l 以上のワイン(赤)200mg/L 以下
糖分含有量5g/l 以上のワイン(ロゼ・白)250mg/L
糖分含有量5g/l 以上のワイン(甘口ワイン)300mg/L 以下~400mg/L 以下
一般の発泡性ワイン235mg/L 以下
高品質発泡性ワイン185mg/L 以下
EU、アメリカ及びオーストラリアのワイン法一覧より

スティルワイン(非発泡性ワイン)とは、一般的なワインのことです。スティル=「静かな」の意味で、非発泡性を表わしています。


製造法による分類|ワインの話 | グリコ

上記の表を見ていただくと、糖分の高いワインは亜硫酸上限量が高く設定されています。

これは、亜硫酸とワインに含まれる糖分が結合して無効化されるからです。
糖分が高ければ亜硫酸と結合して、結果的に亜硫酸の効果がなくなるため多めの添加が許可されているのです。

また、ドライアプリコット、ピクルス、ソフトドリンク、ジャム、ゼリー、 ジュースなどにも亜硫酸塩が含まれている場合があります。

Gastroenterol Hepatol Bed Bench. 2012 Winter; 5(1): 16–23.

食品表示を確認して、そういった食品は避けるようにしましょう。

亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウムなどの成分がラベルに記載されていないかどうか確認してください。

まとめ

亜硫酸塩に敏感な方は、赤ワインや亜硫酸塩無添加のワインを選ぶことで、摂取量を減らすことができます。成分表示をよく確認し、これらの化合物を高濃度に含む他の製品も避ければ、摂取量を抑えることができます。

亜硝酸塩無添加のワインで、100%国産ぶどうを使用している、また低価格で楽しめるワインはこちらの記事をご参照ください

亜硫酸塩(酸化防止剤)無添加ワインを選ぶときの注意点

亜硫酸塩(酸化防止剤)がワインに添加されていることの影響を、研究論文からみる

ワインのなかには、海外産の「濃縮還元ぶどう果汁」「濃縮ぶどう果汁」を使ったものがあります。

濃縮還元ぶどう果汁を使ったワインで有名なものは、「酸化防止剤無添加」と大きくパッケージに書かれた商品です。

海外産の濃縮果汁を使うことで、安く流通できるメリットはあります。

しかしながら、濃縮果汁に加工する過程で酸化防止剤を使っている可能性があります。

たとえ濃縮果汁に酸化防止剤が使われていても、日本の食品表示法ではそれは「書かなくて良い」場合があります。

輸入された濃縮ブドウ果汁は、原材料です。

食品の原材料の製造・加工で使用されたもので、その食品の製造には使用されない食品添加物で、最終食品まで持ち越された場合に、最終食品中では微量となって、食品添加物そのものの効果を示さない場合をキャリーオーバーといいます。キャリーオーバーの場合は表示が免除されます。

よって消費者は「酸化防止剤無添加」のものを買っているはずなのに、実は無添加ではなかったという可能性もあり得るのです。

知らされない添加物の存在が気になるかたは、「濃縮還元」「濃縮果汁」は避けたほうが無難と言えます。

ただし、添加物を含む原材料が原型のまま存在する場合や、調味料、着色料、香料等のように、添加物の効果が視覚、味覚等の五感に感知できる場合は、キャリーオーバーにはなりません。よってこれらが濃縮果汁に含まれる場合は表示義務が発生しますので、ご安心ください。

濃縮果汁のメリット・デメリットについては、こちらの記事をご参照ください


札幌市 添加物~食品衛生法に基づく表示~

一般財団 日本食品添加物協会

BMJ. 2018; 360: k322.Published online 2018 Feb 14. doi: 10.1136/bmj.k322

亜硫酸塩についての結論

亜硫酸塩は、ワインやその他の製品の外観や味、保存性を向上させるために使用される化学化合物です。

ほとんどの人は亜硫酸塩を摂取しても問題ありませんが、中には胃痛、頭痛、じんましん、腫れ、下痢を経験する人もいます。

亜硫酸塩に敏感な方は、赤ワインを選んだりや亜硫酸塩無添加のワインを選ぶことで、摂取量を制限でき、副作用を防ぐことができます。

皆さんの身体を守る、参考になりましたら幸いです。

果糖ぶどう糖液糖の身体への影響については、こちらの記事ご参照ください

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