自立支援医療制度とは…
自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
厚生労働省
統合失調症などの精神疾患を有するかた、身体障害者手帳の交付を受けたかたで、その障害を除去・軽減する手術等の治療費や薬代が安くなるという制度のことです。
医療費は基本3割負担ですが、自立支援医療が適応されますと1割負担で済みます。(世帯によって月あたりの医療費上限も設定されています。詳細は後述)
今回は、実体験として行った手続きの方法と、必要なもの、役所で聞いた情報などを共有していきます。
自立支援医療制度で医療を受けられる医療機関や薬局
自立支援医療制度による医療費の軽減が受けられるのは、各都道府県又は指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」(病院・診療所、薬局、訪問看護ステーション)であり、指針で指定した病院に限られています。
どこの病院でも受けられるわけではないこと、ご注意ください。
現在通院している医療機関や、通院を希望する医療機関等が指定されているかどうかは、医療機関におたずねいただくか、精神保健福祉センター、都道府県、指定都市等の担当課にお問い合わせください。
もしくは「指定自立支援医療機関+都道府県」で検索し、都道府県の公式サイトを探してみてください。
自立支援医療制度の申請手続き方法
自立支援医療制度に必要なもの
- 自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書
- 診断書(自立支援医療費(精神通院)用)
- 障害年金、遺族年金を受給している場合、年金額が分かる年金証書や振込通知等
- 健康保険証
- 本人のマイナンバーの分かる書類(個人番号カード、通知カード等)
1.自立支援医療制度の用紙をもらう
自立支援医療制度の専用用紙は、病院にはありませんので、役所でもらい準備する必要があります。
まずは、最寄りの役所に行き、「障がい福祉課※1」で「自立支援医療制度の用紙をください」と申し出ます。
※1地域によって呼び方が違いますので、分からなければ、案内所で「自立支援医療制度の相談はどこに行けばいいか」を訪ねてください。
役所の窓口では、以下のような書類をもらえます。
- 自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書
- 診断書(自立支援医療費(精神通院)用)
- 申請のしおり
役所で用紙をもらうメリットは、準備するものやどこに何を書けばよいのかを、丁寧に教えてくれることです。
1「自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書」は自分で記入が必要です。たくさん欄がありますので、どこに記入が必要なのか、係の方がマル印で教えてくれたのでスムーズでした。分からないことがあれば、その場で尋ねることができます。
ちなみに、1「自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書」と2.「診断書(自立支援医療費(精神通院)用)」は、各都道府県によってはダウンロードできることもあります。「自立支援医療費+都道府県名+用紙」などで検索されてみてください。
ダウンロードの注意点は、診断書はA3サイズ指定であることが多いので、プリントアウトする際には様式など確認してください。
2.病院で診断書を書いてもらう
準備した用紙のうち、2.「診断書(自立支援医療費(精神通院)用)」は病院の主治医に提出し、書いてもらう分です。
検診のときに、自立支援医療制度を受けたい旨を伝えて渡し、書いてもらいましょう。
通常は即日に書いてもらえることもなく、作成に1週間ほど待つことになります。
診断書作成料は病院によってまちまちですが、3,000円~5,000円が相場です。気になる方は、事前に病院の受付で聞いてみてください。
管理人の場合、3,300円でした。
3.役所に自立支援医療制度の用紙一式を提出
診断書を病院から受け取ったら、再度役所の担当福祉課へ行き、必要書類を提出します。
この時、健康保険証やマイナンバーカードも必要ですのでお忘れなく。
自立支援医療制度に必要なもの
- 自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書
- 診断書(自立支援医療費(精神通院)用)
- 障害年金、遺族年金を受給している場合、年金額が分かる年金証書や振込通知等
- 健康保険証
- 本人のマイナンバーの分かる書類(個人番号カード、通知カード等)
しばらく待ちますと、自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書の控えをくれます。
この控えは、大切なもの(後述)ですので、無くさないようにしてください。
自立支援医療制度は、いつから適用される?
自立支援医療制度の用紙一式を提出してから、すぐに自立支援医療が適用されるわけではありません。
そこから審査が入り、申請が通ってはじめて「自立支援医療受給者証」が交付されます。この自立支援医療受給者証を、診断書を書いてもらった病院に提示することで、医療費が1割負担となります。これは診察のたびに毎回提示する必要があります。
自立支援医療受給者証が届くまではおおよそ1~2ヶ月かかります。
管理人の場合、2か月かかりました。
場合によっては3か月以上待たされる場合もあるようです。
自立支援の申請してからもうすぐ3ヶ月経つのにまだ証明書(?)届かない
— むぎ子 (@w_pm1h) January 8, 2018
それでは、その間は医療費3割負担なのでしょうか?
いいえ、申請後にもらえる「申請書本人控え」を病院に提出することで、自立支援医療受給者証無しに、自立支援医療が適用されます。
ただし、この扱いは各指定医療機関によって異なります。
申請書の控えの提出では1割負担が適用されない場合は、受給者証が届いた後で払い戻しの手続きをすることで、差額を還付されます。
還付の手続きには以下の書類が必要になります。
- 自立支援医療受給者証
- 自己負担上限額管理票
- 医療費を3割負担で支払った際の領収証(原本)
逆に、もし申請の結果が不承認となった場合、申請日以降の医療費の自己負担は3割となります。
申請書本人控えの提示により自己負担1割となっていた場合は、差額を医療機関へお支払いする必要があります。
自立支援医療制度は会社にバレる?
自立支援医療制度申請にには健康保険証を提示することから、会社に制度を利用していることがバレてしまうのではないかと不安になるかたがおられると思います。
実際に、役所で聞いてみたところ、そのような個人情報は役所から会社に伝えることはないということでした。
つまり、自立支援医療制度を利用していることは、会社にバレることはありません。
また、通院歴は個人情報にあたりますので、のぞかれることも常識的にはあり得ません。
受診した医療機関・診療科目・治療内容は本人宛で個別に通知されます。この通知は封がされており、会社は開けることを禁じられています。
自立支援医療制度で、どれほど医療費が安くなるか
前述のように、自立支援医療が適応されますと1割負担で済みます。
さらに、この1割の負担が過大なものとならないよう、更に1 か月当たりの負担には世帯の所得(納税額)に応じて月あたりの自己負担額に上限が設定されています。
上限を超えた分は公費で賄われるため、ひと月に上限額以上の医療費を支払う必要がなくなります。
例えば、月あたりの上限額が10,000円と設定されている場合に、病院の診療で6,000円、薬局の処方で6,000円、合計12,000円の費用が発生したとします。このとき上限額は10,000円と設定されているため、超過した2,000円については公費で支払われることになり、自己負担にはなりません。
この世帯の所得(納税額)の調査は、役所側で行ってくれますので、利用者側が源泉徴収表や確定申告書などの準備の必要はありません。
「重度かつ継続」について
厚生労働省によれば、「重度かつ継続」には以下のような場合が対象となります。
・直近の1年間で高額な治療を継続して行い、国民健康保険などの公的医療保険の「高額療養費」の支給を4回以上受けた方
・①~⑤の精神疾患の方(カッコ内は ICD-10(疾病及び関連保健問題 の国際統計分類)による分類)
①症状性を含む器質性精神障害(F0) (例)高次脳機能障害、認知症 など
②精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1) (例)アルコール依存症、薬物依存症 など
③統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)
④気分障害(F3) (例)うつ病、躁うつ病 など
⑤てんかん(G40)・3年以上精神医療を経験している医師から、情動及び行動の障害又は 不安及び不穏状態を示すことから入院によらない計画的かつ集中的な精神医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む)が続けて必要であると判断された方
厚生労働省
自立支援医療受給者証の有効期間
せっかく準備して交付された受給者証ですが、これには1年の有効期限が設けられています。
有効期間終了後も引き続き自立支援医療を受ける場合は、更新が必要になります。更新の申請は、おおむね有効期間終了3ヶ月前から受付が始まります。
更新には、以下のものが必要になります。
- 自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書
- 診断書(自立支援医療費(精神通院)用)※
- 自立支援医療受給者証
- 障害年金、遺族年金を受給している場合、年金額が分かる年金証書や振込通知等
- 健康保険証
- 本人のマイナンバーの分かる書類(個人番号カード、通知カード等)
※病態や治療方針に変更がなければ、2回に1回は医師の診断書の省略ができますので、詳しくは申請した市町村役所にお問い合わせください。