健康

自宅でできる鼻うがい(サイナスフラッシュ)の方法|道具は220円(100均アイテム)で準備できます

鼻うがい(サイナスフラッシュ)とは?

鼻うがいは、鼻づまりや副鼻腔の炎症に対する安全でシンプルな手段で、誰でも自宅で簡単に行うことができます。

鼻うがいは、鼻腔洗浄(副鼻腔洗浄/sinus flush)とも呼ばれ、通常、生理食塩水を使用します。生理食塩水で鼻腔内を洗浄することで、アレルゲン、粘液、その他の残骸を洗い流し、また粘膜を潤すことができるのです。

「ネティポット」という器具を使って生理食塩水を鼻腔に入れて洗浄するのが一般的です。(道具の作り方や、詳しい洗浄方法は後述します。)

鼻うがいは、一般的に安全な方法であるといわれています。しかし、鼻うがいを行う前に、知っておかなければならない重要な注意点がありますので、合わせて確認していきましょう。

鼻うがいの歴史

何世紀も前、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、温かい塩水を使って鼻腔を洗浄し、余分な粘液や花粉、その他のゴミを除去する方法が開発されました。

これが鼻うがいの原点です。鼻うがいは、歴史ある行為なのです。

鼻うがい(サイナスフラッシュ)は痛い?

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鼻うがいに用いるのは「生理食塩水」ですので、一般的には痛みは伴いません。

管理人も痛みに耐えながらの鼻うがいは、一切したことがありません。

では、プールなどで鼻が痛くなるのは、なぜでしょうか?

それは、人間の体液と鼻に入った水の「浸透圧濃度」が違うからです

私たちの体の6割は水分で出来ていますが、そこには塩分が含まれています。水道水やプールの水は塩分濃度がほぼ0%で、この塩分濃度の違いが痛みの原因となります。

鼻の奥や目には痛みを感じる神経細胞があります。その細胞膜は薄い塩分濃度の水を濃い方に移そうとする働きがあります(半透膜)。塩分濃度の薄い水が細胞膜に触れると、濃度の濃い細胞の内側の水を薄めようと移動し、その結果、細胞が膨れます。細胞が膨れるということは、細胞にとって危険な状態であり、それを察知する細胞の感覚センサーが反応し、痛み情報として脳に伝えます。それが、水が鼻の奥に入ったときに起こる、あの「ツーン」とした独特の痛みなのです。

したがって、鼻洗浄をする時は、体液塩分濃度0.9%と同じ濃度の洗浄液にする必要があります。それによって浸透圧濃度も同じになり、刺激が発生しにくくなります。後でも説明しますが、0.9%の食塩水を「生理食塩水」といいます。

ネティポットを100均の道具で作る

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鼻うがいには、「ネティポット」という器具を用います。

もちろん市販のものを用いても良いのですが、より安上がりにするために、管理人は自作しました。

最寄りの100円ショップで、以下のものを購入してきてください。

  • ガーデニング水差し
  • イヤーピース(XL以上のもの

イヤーピースは、イヤフォンを買ったときに付属していて、使っていないサイズがあったりしますよね。それを使用してもオッケーです。

準備ができましたら、ガーデニング水差しの先端ににイヤーピースを指します。

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これで完成です。簡単ですね。このイヤーピース水差しを、鼻の穴に突っ込んで溶液を流し込みます。

イヤーピースを付けるのは、溶液が逆流しないようにです。

使用前には、必ず消毒用エタノールなどで消毒してください。

鼻うがい(サイナスフラッシュ)に使う「溶液」

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最初のステップは、生理食塩水を作成することです。一般的には、塩化ナトリウムとして知られている純粋な塩と、33度ほどの暖かい滅菌水を混合し、等張溶液を作成するして、それを用います。

ややこしく書きましたが、市販されている食用の塩に、33度ほどに温めた滅菌水を混ぜて生理食塩水を作ればオッケーです。

生理食塩液

生理食塩液とは、0.9%の食塩液です。 つまり100mL中に食塩(NaCI)を0.9g含む溶液のことです。

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ご自宅で生理食塩水を作ることもできますが、市販の生理食塩水パック使っても、もちろん大丈夫です。

ここで重要なことは、滅菌水、もしくは煮沸水を使用することです

これは、ナエグレリア・ファウレリ(学名: Naegleria fowleri)という寄生性アメーバの混入を防ぐためです。このナエグレリア・ファウレリは深刻な感染症を引き起こす危険性があります。このアメーバが副鼻腔に侵入すると、脳まで到達して致命的な感染症を引き起こします。

日本の水質基準は厳しく、またナエグレリア・ファウレリは塩素に弱いため、日本の水道水にこのアメーバーが混入している可能性は低いといえます。飲料水として使用可能な水道水であれば、そのまま使っても大丈夫といっても良いでしょう。

それでも、雑菌混入の可能性がある、滅菌水や煮沸水を利用することが望ましいです。ひと手間ではありますが実行していきましょう。

水道水をそのまま使うというかたは、自己責任でお願いいたします。

ちなみに、水を煮沸する場合は1分間沸騰させ、その後冷やしてください。

溶液の量は、300~500mlを準備します。

まとめ

  • 生理食塩水(0.9%の食塩液)を
  • 温度は33度ほどで
  • 300ml~500mlを用意する

鼻うがい(サイナスフラッシュ)の方法

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鼻腔や副鼻腔をきれいにするには、次のステップを踏んでください。

  • 洗面台かシャワーの上にやや前かがみ状態で頭立ち、頭を左側に片側に傾ける。
  • ネティポットを右の鼻に指して、生理食塩水をゆっくりと鼻の穴に注ぐ。
  • もう左方の鼻の穴から、生理食塩水を出します。このとき、鼻ではなく、口で呼吸してください。
  • 反対側も同様にに行います。
  • 溶液が喉の奥に流れないようにしましょう。正しい角度が見つかるまで、頭の位置を調整してみてください。
  • 300~500mlを両方の鼻で行います(片方150~250ml)。
  • 終えたらティッシュで優しく鼻をかみ、粘液を取り除きます。

中には塩以外に「重曹」を加えることを進めているサイトもありますが、管理人は重曹を加えたことで、鼻炎のような症状を引き起こしました。

生理食塩水で十分に洗浄できますので、余分なものは加えないほうが賢明であると思います。

鼻うがい(サイナスフラッシュ)の安全上の注意点

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鼻うがいには、感染症やその他の副作用のリスクがわずかにありますが、以下の単純な安全規則を守ることで、リスクは簡単に回避することができます。

  • 鼻洗浄の前に手を洗ってください。
  • 精製水、蒸留水、または沸騰させた水を使用することを推奨します。
  • ネティポットは、毎回使用後、消毒用エタノールや酸素系漂白剤などで消毒を行ってください。
  • 特に副鼻腔の手術を受けたばかりの人は、冷たい水の使用は避けてください。慢性副鼻腔炎の手術を受けたばかりの人が冷たい水を使うと、副鼻腔外骨腫(PSE)と呼ばれる鼻の中の骨の増殖が起こる危険性があります。
  • 熱いお湯の使用はやけどの危険がありますので、避けてください。
  • 生理食塩水は、濁ったり汚れたりした場合は破棄してください。
  • 生理食塩水は作り置きはしないで、その都度作成してください。
  • 乳幼児に鼻腔洗浄を行わないこと。
  • 顔の傷が治っていない場合、神経系や筋骨格系に問題があり、誤って液体を吸い込む危険性が高い場合は、鼻洗浄を行わないでください。

鼻うがいが適切に行われれば、大きな副作用を引き起こるリスクは低いです。とはいえ、以下のような軽い影響が出る可能性があります。

  • 鼻の中の刺すような痛み
  • くしゃみ
  • 耳の膨満感
  • これは稀ですが、鼻血

鼻うがいが特に不快に感じられる場合は、洗浄液に含まれる塩分の量を見直してみてください。

鼻うがい(サイナスフラッシュ)の効果【研究データ紹介】

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いくつかの研究により、鼻うがいが急性および慢性副鼻腔炎やアレルギーの治療に有効であることが証明されています。

ある研究では、1日1回生理食塩水を使用した慢性副鼻腔症状の患者は、6ヶ月後に全体の症状の重症度が64%改善し、生活の質も大幅に改善されたと報告がされています。

Am Fam Physician. 2009 Nov 15; 80(10): 1117–1119.

カリフォルニア大学サンディエゴ校の2000年の研究では、先に説明した手順の鼻うがいをした200人以上の人々を調査しました。30の症状のうち23の症状で「統計的に有意な改善」がみられたとしています。また、主観的なQOL(クオリティ・オブ・ライフ)評価も改善されました。

2009年の調査記事では、生理食塩水による鼻腔洗浄が、以下のような症状を持つ人々にとって安全かつ効果的であると結論づけています。

  • 慢性鼻副鼻腔炎
  • ウイルス性上気道感染症
  • アレルギー性鼻炎

Clinical Study and Literature Review of Nasal Irrigation

しかしながら、アレルギーや風邪の治療に生理食塩水を使用することを支持する研究は、あまり確定的ではありません。アレルギー性鼻炎患者を対象とした臨床試験の最近のレビューTrusted Sourceによると、生理食塩水を使用すると、生理食塩水を使用しない場合と比較して症状が改善するようですが、証拠の質は低く、さらなる研究が必要であるとしています。

Cochrane Database Syst Rev. 2018 Jun 22;6(6):CD012597. doi: 10.1002/14651858.CD012597.pub2.

今後も鼻うがいの研究が続くことを願います。

どのくらいの頻度で洗浄すればよい?

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風邪やアレルギーで鼻づまりがある時に、副鼻腔洗浄を行うのに問題はありません。

鼻づまりや副鼻腔の症状がある間は、1日1回の洗浄から始めてください。症状に効果があると感じたら、1日3回までは鼻うがいを繰り返しても問題ないと言えるでしょう。

症状がないときでも、副鼻腔の予防のために使い続ける方もいらっしゃいます。しかし、鼻腔洗浄の定期的な使用は、実際には副鼻腔感染のリスクを高める可能性があると警告している医師もいます。また、やりすぎは鼻腔と副鼻腔を覆う粘膜の保護機能の一部を阻害する可能性もあります。

生理食塩水を定期的に流すことによる長期的な副作用を明らかにするには、より多くの研究が必要です。現時点では、副鼻腔の症状があるときに限って使用するか、医師の診断を仰ぐのがよいでしょう

医師の診察を受ける場合

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以下のような症状がある場合は、自己判断で鼻うがいをせず、、病院を受診してください。これは、より深刻な感染症の兆候である可能性があり、医師の治療、処方箋が必要になる場合があります。

  • 38.5°C以上の発熱
  • 鼻から出血する
  • 緑色または血の混じった鼻汁の増加
  • 強い臭いのある粘液
  • 喘鳴(ぜんめい)…呼吸をするときに、ヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がすること
  • 視力の変化
  • 頬の奥、眉間、額、歯の痛みなどを伴う場合

結論

鼻うがいは、鼻腔洗浄または生理食塩水洗浄とも呼ばれ、塩水で鼻腔を優しく洗浄する簡単な方法です。

副鼻腔洗浄は、副鼻腔炎、アレルギー、または風邪によって引き起こされる鼻づまりや刺激を和らげるのに効果的です。

特に、滅菌水を使用すること、副鼻腔の手術を受けたばかりの人は冷たい水を使用しないことなど、指示に従えば一般的に安全な方法と言えるでしょう。

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